ペンシルズ
ペンシルズの自作問題をここに載せる。
「ペンシルズ」はニコリの季刊158号(2017年春)のオモパコーナーで現れたパズル。
「ペンシルズ」のルール

・ペンシルズ「無題1」puzz.link / 答え(画像) 2017/7/22公開
penpuzzle1_imgv2.png
おそらく少し難しい問題。「数えれば」無理なく解けるが、あまり親切でないように思われる。

・ペンシルズ「無題2」puzz.link / 答え(画像) 2017/9/18公開
penpuzzle_2.png
比較的簡単な問題。前回よりはすっきりとした問題にできたように思う。

・ペンシルズ「無題3」puzz.link / 答え(画像) 2017/9/18公開
penpuzzle_3_imgv2.png
おそらく標準的な難易度の問題。外周部は比較的すっきりしているが、中央部は少し先読みが必要になるかもしれない。
例によって雑に作成したところ複数解が多発して、調整の過程で初期の構想から大きく変化してしまったが、いくつかは手筋を残すことが出来た。

・ペンシルズ「無題4」puzz.link / 答え(画像) 2017/10/4公開
penpuzzle_4.png
遊び心とミスリードを意識して作成した問題。
おそらく標準的な難易度の問題。右上が少し難しいかもしれない。
色々と反省点も多いがとりあえずコンセプトが表現できたので良かったと思うことにする。今はかなり無計画に問題作成をしているので、時間があれば手筋の研究もしたいところ。

・ペンシルズ「無題5」puzz.link / 答え(画像) 2017/12/9公開
penpuzzle_5.png
おそらく標準的な難易度の問題。
芯なし縛りで作成している。

・ペンシルズ「無題6」puzz.link / 答え(画像) 2017/12/16公開 2017/12/21修正
penpuzzle_6_2.png
おそらく標準的な難易度の問題。
数がないと長さ4以上の鉛筆が作れないのは残念である。トップダウンで雑に作ると短い鉛筆による複数解が生じることも多い。変形ルールを作りたくなる。
[2017/12/21追記]複数解だったため修正した。

・ペンシルズ「無題7」puzz.link / 答え(画像) 2017/12/17公開
penpuzzle_7.png
おそらく比較的難しい問題。
表出なしペンシルを2個つなげた形状を使用している。

ペンシルズを作る際は数を3以上の奇数に分解する組み合わせの数が重要になる。
整数を奇数に分割する組み合わせの数はOEISのA9で、
整数を相異なる数に分割する組み合わせの数と等しい(オイラーの恒等式:同じ数を2個ずつ足し合わせれば対応が得られる)。
3以上の奇数に分割する組み合わせの数は、その数から、1を含む分割の組み合わせの数を引けば良いのでA9(n)-A9(n-1)となる。
n=1,2,3,...,20までの数列は0,0,1,0,1,1,1,1,2,2,2,3,3,4,5,5,6,8,8,10となる。
表出なしで唯一解の空間を作りたい場合、3を含む組み合わせも除く必要がある。
上の数列からさらに3ずらした数列を引けばよく、n=5,6,7,...,20までの数列は1,0,1,0,1,1,1,1,1,2,2,2,2,3,3,4となる。
具体的に書くと、
n3を含まない組み合わせ3を含む組み合わせ
5(5)
6(3,3)
7(7)
8(3,5)
9(9)(3,3,3)
10(5,5)(3,7)
11(11)(3,3,5)
12(5,7)(3,9),(3,3,3,3)
13(13)(3,5,5),(3,3,7)
14(5,9)(7,7)(3,11),(3,3,3,5)
15(15)(5,5,5)(3,5,7),(3,3,9),(3,3,3,3,3)
16(5,11)(7,9)(3,13),(3,3,5,5),(3,3,3,7)
17(17)(5,5,7)(3,5,9),(3,7,7),(3,3,11),(3,3,3,3,5)
18(5,13)(7,11)(9,9)(3,15),(3,5,5,5),(3,3,5,7),(3,3,3,9),(3,3,3,3,3,3)
19(19)(5,5,9)(5,7,7)(3,5,11),(3,7,9),(3,3,13),(3,3,3,5,5),(3,3,3,3,7)
20(5,15)(5,5,5,5)(7,13)(9,11)(3,17),(3,5,5,7),(3,3,5,9),(3,3,7,7),(3,3,3,11),(3,3,3,3,3,5)
組み合わせは漸化式の要領で網羅できる。
[2017/12/24追記]黄色い烏様から間違いのご指摘があったため修正を行った。
組み合わせが複数ある場合は部屋の形を工夫すれば唯一解にできることがある。
表出なし5マスで唯一解となるのは以下の3種類のみ(P、N、Lペントミノ)。
penpuzzle_auto5.png
7マスの場合は以下の9通り。
penpuzzle_auto7.png
10マスの場合、5+5と分解できる場合に唯一解になるケースがある。Pペントミノ2つの場合は以下に挙げる32通り。
penpuzzle_auto10_PP.png
※リストは手作業で列挙しているので間違いがある可能性がある。間違いを見つけた場合はコメントにて指摘いただきたい。
[2017/12/24追記]黄色い烏様から複数解パターンのご指摘があったため修正を行った。
[2017/12/28追記]末尾の4種類が抜けていたので追加した。
この調子で全て列挙しても良いが、面倒なので列挙はここまでにしておく。
上の問題はPペントミノとNペントミノの組み合わせを用いている。

・ペンシルズ「無題8」puzz.link / 答え(画像) 2017/12/27公開
penpuzzle_8.png
おそらく比較的難しい問題。
盤面上部で少し先読みが必要になるので矢印をもう一つ出すか迷ったが、多少考えさせるくらいの方が私らしいように感じたので、表出しないことにした。

・ペンシルズ「無題9」puzz.link / 答え(画像) 2018/1/4公開
penpuzzle_9.png
おそらく標準的な難易度の問題。今回は12マスの空洞を作ってみた。

今まで問題の画像を作成していた自作アプリケーションはCUIベースで、どうにも使い勝手が悪かったため、今回はInkscapeでの作成を試みた。レイヤー機能は当然として、グリッドを定義したりスナップしたりできるので配置は想定より効率良くできた。「想定より効率良い」と言ってもスナップ機能が悪さすることもあり、また、配置のためにわざわざオブジェクトをコピー&ペーストする必要があり、マウスを動かす労力も必要になるため、今までの方法とどちらが良いかは判断しかねる。ただここであまり試行錯誤しても、ぱずぷれに実装されれば間違いなくそちらを使うことになると思われるので、あまり最適化しないことにする。

下図のように三つ又または四つ又の部分から長さ1と長さ2の枝が出る構造は、常に解なしになる。上の問題はこの原理を使っている。
penpuzzle_forbiddenpat1.png
関連して見つけた下図のようなラダー構造は、常に唯一解になる。
penpuzzle_auto_ladder5N.png
これによって、総マス数が5の倍数(5n, n∈{1,2,3,...})のフィールドで唯一解のものが構成できることが示された。
一方で、下図のラダー構造も唯一解になる。
penpuzzle_auto_ladder7N.png
したがって総マス数が7の倍数(7n, n∈{1,2,3,...})のフィールドでも唯一解のものが構成できることが示された。
5マスタイプのラダーと7マスタイプのラダーをつなげることもできるので、一般に5m+7nが実現できることになる(m∈{0,1,2,...},n∈{0,1,2,...})。5と7は互いに素だが、負の値が許されないために実現できない数が生じる。具体的には1,2,3,4,6,8,9,11,13,16,18,23が含まれないことになる。総マス数12以下は既に見てきたので、総マス数13以上に注目すると13,16,18,23だけが候補として残る。これらの総マス数を持つフィールドで唯一解の構造を作れるかどうかを考える。

総マス数13の唯一解空間は作れない;(13)が常に(7,3,3)で分解できてしまう。
16マスの唯一解空間は作れない;16マスの分割が(5,11)(7,9),(3,13),(3,3,5,5),(3,3,3,7)の5種類のみであることを既に示しており、唯一解となるためには(5,11)または(7,9)で分解できる必要があるが、9マスのブロックと11マスのブロックは解が存在するなら常に複数解になることがわかっているためである。
18マスの唯一解空間も作れない;18マスの3を含まない分割は(5,13)(7,11)(9,9)の3つのみで、既にみたように9マス、11マス、13マスの唯一解空間が作れないためである。
23マスの唯一解空間も作れない;23マスの3を含まない分割は(23),(5,5,13),(5,7,11),(5,9,9),(7,7,9)の5つのみで、9マス、11マス、13マスは不可なので唯一解にするには分割は(23)である必要があるが、(23)は常に(5,3,3,3,3,3,3)と分解できるためである。

以上から、結局5m+7nで表せない総マス数の空間は唯一解にできないことが分かった。具体的に書き下すと、総マス数が1,2,3,4,6,8,9,11,13,16,18,23のいずれかの時そしてその時に限り、表出なしで唯一解にできないとわかった。

中空構造で表出なし唯一解の例:
penpuzzle_auto_hollow1.png

・ペンシルズ「無題10」puzz.link / 答え(画像) 2018/1/6公開
penpuzzle_10.png
おそらく難しい問題。問題としての出来はあまり良くない。それぞれの"?"にはなんらかの数字が入る。
唐突に脳内に浮かんだ配置案にしたがって作成した問題で、縛り自体は許容圏内にできたという感想。

・ペンシルズ「無題11」puzz.link / 答え(画像) 2018/1/16公開
penpuzzle_11.png
簡単な問題。

・ペンシルズ「無題12」puzz.link / 答え(画像) 2018/1/16公開
penpuzzle_12.png
簡単な問題。
盤面下方で少し凝った仕掛けを作ろうとしたが失敗した。悔しいので後日別途修正版を公開するかもしれない。
盤面上部はニコリ誌の問題で良く見かける押し合い構造を中心としているが、どうにも雑な雰囲気の作りになってしまった。

・ペンシルズ「無題13」puzz.link / 答え(画像) 2018/2/4公開
penpuzzle_13.png
おそらく標準的な難易度の問題。
ニコリのペンパ2018に触発され、今回は手筋・ミスリード多めの構成。
表出なし空間のある問題が載っていたのが印象的だった。

私は飽きの早い性格なのもあり、最近はあまり議論をしていなかったが、また少し興味のある問題が出てきたのでここで考察する。
既に総マス数が5m+7nで表せる時に限り、表出なしで唯一解の形状にできることを示した。逆に、ある総マス数の空間が表出なしで唯一解の場合、その解は、必ず5マスのブロックと7マスのブロックで構成されることになることが証明できる。なぜならば、その解が3マスブロックや9マスブロックを含む場合は明らかに複数解であり、11マス以上の単体ブロックは3マスブロック2つと(総マス数-6)マスブロックに分解できるためである。したがって表出なし唯一解空間は本質的に5マスブロックと7マスブロックの集まりで構成されるもので全てである。
よくよく考えるとこちらの証明の方がはるかに簡単で明快なので、この証明を先にしておけばここまで長い議論は不要だったかもしれない。随分と遠回りをしていたようだ。

・ペンシルズ「無題14」puzz.link / 答え(画像) 2018/3/21公開 2018/3/24修正
penpuzzle_14_2.png
おそらく少し難しい問題。左上が重くなってしまったように思う。
発生に関係する手筋に興味があり色々と試している。
[2018/3/24追記] 複数解のご指摘がありましたので修正いたしました。

・ペンシルズ「無題15」puzz.link / 答え(画像) 2018/4/15公開
penpuzzle_15.png
おそらく標準的な難易度の問題。
最近の試みの一環として、盤面上部を易しくしたり色々な手筋を意識的に入れたりしている。
私は本来、あくまで議論目的で問題を作っているので、作った問題が良問かどうかはある意味どうでも良いこと(むしろ気にしすぎるべきではないこと)なのだが、それでも最近は結構気にして作っている。ただ、良問を作ろうとすることで得られるものもあると考えている。

・ペンシルズ「無題16」puzz.link / 答え(画像) 2019/3/24公開
pencils_16.png
私らしい問題。

当記事の公開日:2017/10/04
当記事の最終更新日:2019/10/19
カテゴリ:自作問題
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